口腔ケア

口腔ケアの重要性

口腔ケアの重要性

『口腔ケア』は口の手入れを行なうことです。特に、ご自分で十分な手入れができない高齢者に対しては、ご家族など介護する立場にある方が手入れを行なうことが求められます。

高齢者がいつまでも元気でいきいきと過ごすために必要なのは、心身の衰えを予防することです。

口腔ケアで口の健康を維持できると、食べ物をしっかりと噛み、食事を楽しむことができます。よく噛むことで脳の血流が良好になり、認知症予防にもつながります。また、食欲がわくことで生きる意欲も増し、人とのコミュニケーションが活発になるなど、社会生活にも良い影響を与えます。

口は、きちんとした手入れをすれば、効果を実感できる部位です。口腔ケアを行なったことがないという方も、いつもの歯磨きにケアを足すことで、口の健康を取り戻すことができます。継続的な口腔ケアが口と全身の健康維持への近道です。

口腔ケアの種類

口腔ケアには、『器質的口腔ケア』と『機能的口腔ケア』の2種類があります。

器質的口腔ケア

器質的口腔ケア

器質的口腔ケアは清掃を中心とするケアで、口内環境を清潔に保つ目的があります。

歯垢や食べかすなど口の中の汚れは、歯だけに付いているわけではなく、頬の内側、歯肉、舌にも付きます。もちろん、歯磨きを行なって歯に付いた汚れを落とすことは基本ですが、細菌の繁殖を防ぐためにも、口の中全体の汚れをきれいに取り除く必要があります。

機能的口腔ケア

機能的口腔ケア

機能的口腔ケアは機能訓練を中心とするケアで、口腔機能の維持・向上を図る目的があります。

口腔機能は、噛む、飲み込む、話す、笑うなどの口の働きのことで、口の筋肉がきちんと動かなければ、満足な食事や会話ができません。

口腔機能が維持できてこそ、自分の口でおいしく食べ、周りの方との会話を楽しむことができるのです。そのためには、口のリハビリテーションを行ない、口腔機能を回復させる必要があります。

口腔ケア指導

当院では、患者さまご自身への口腔ケア指導のほか、介護する立場にある方がより効果的な口腔ケアを行えるよう、指導を行なっています。

器質的口腔ケアの方法

歯垢や食べかすなど、歯、頬の内側、歯肉、舌などについた汚れは、うがいだけでは取り除けません。
歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、スポンジブラシ、口腔ケアウェットティッシュなどを使って、口の中全体の汚れをきれいに取り除く必要があります。

■歯がある場合のケア

歯磨き剤を使用して歯磨きを行ない、歯間ブラシ、デンタルフロスなどで歯間清掃をします。
特に歯と歯肉の間、歯の裏側、奥歯などは、歯ブラシをきちんと当てることを意識しましょう。

■入れ歯を使用している場合のケア

入れ歯は流水で洗い、傷つかないよう歯磨き剤を使用せず、入れ歯用ブラシのみで清掃します。入れ歯洗浄剤を併用してもいいでしょう。
入れ歯を口の中に入れっぱなしにしていたり、適切な手入れができていないと、細菌やかびの温床となり、誤嚥性肺炎を引き起こす原因なってしまいます。毎日きちんと取り外して衛生的に保つことが大切です。

■歯がない場合、頬の粘膜を清掃する場合のケア

スポンジブラシや口腔ケアウェットティッシュなどを使用し、歯肉や頬をマッサージするように優しく拭い、その後うがいをします。
うがいは汚れを洗い流すだけではなく、リハビリテーションにもつながります。

機能的口腔ケアの方法

機能的口腔ケアは、口のリハビリテーションも兼ねています。

■口の体操

口を開ける・閉じる、舌を出す・引く、頬を膨らませる・すぼめるなど、口の周りの筋肉を動かします。
それによって唾液の分泌が促されるため、噛む、飲み込む、話す、笑うなどの機能の衰えを予防できます。また、脳への適度な刺激となるため、表情も豊かになります。

■唾液腺マッサージ

唾液には、消化を助ける、細菌の増殖を抑える、粘膜を保護するなど、多くの重要な役割があります。しかし、加齢によって唾液の分泌量が低下すると、口の中が乾燥し、その役割を十分に果たすことができなくなります。つまり、噛む、飲み込む、話す、笑うなどが思うようにできなくなるということです。

唾液の発生源は唾液腺で、口周辺に多く分布していますが、口の中と外側それぞれから刺激することで、唾液の分泌を良好にすることができます。

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